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桑の葉の効果効能、桑の葉のチカラ

桑の木で出来た寿命神という神様が祭られてる紫波稲荷神社岩手県盛岡市。その南に位置する紫波町に1000年の歴史を伝える神社があります。杉林に囲まれた紫波稲荷神社。紫波のおいなりさんとして、交通安全や厄払いの神様として人々に崇められています。

本殿下の傍らに小さな祠があります。祠には、桑の木で出来た寿命神という神様が祭られていました。桑の木を撫でると、自分の痛いところも直り、病気にならないといわれています。

日本に桑が伝わったのは弥生時代のこと。桑の葉を飼料とする蚕とともに大陸から渡ってきました。日本では、桑の葉といえば蚕を連想しますが、中国ではもっとも古い薬物書「神農本草経」に生薬としても紹介され、滋養強壮や糖尿病にも効果がある不老長寿の妙薬として愛飲されてきたのです。

その桑のチカラに改めて注目した人たちがいました。そしてわかった新事実。桑には豊富な栄養と糖分の吸収を阻害する物質が含まれていました。日本の桑畑再興を目指す農家の姿と桑の葉のお茶やサプリメント。忘れられつつあった資源に、新たな価値を発見した人々とその桑の葉に眠る驚くべきチカラの真髄に迫ります。

古くから伝わる、桑の葉の効果効能

養蚕農家の戸数世界中に自生している落葉性の高木、桑。野生の桑は幹も太く、頭上に葉をいっぱいに生い茂らせています。強い生命力があり、切り落とされた幹からも新しい葉が次々に出てきます。

日本では蚕の飼料としていくつかの品種が栽培されてきました。いずれも背の高さを抑えた栽培しやすい品種です。明治以降、国を挙げて取り組んだ養蚕業も法律の撤廃や海外からの輸入品の影響で、衰退の一途をたどります。1968年には45万5千戸あった養蚕農家も。1997年には、6千戸まで減少しました。全国にあった桑畑も、多くは放置され荒れ果ててしまったのです。

桑の葉に含まれる栄養素国立岩手大学に、桑の葉の新たな活用に向けて研究している先生がいます。農学部の鈴木幸一教授です。鈴木教授に桑の葉についてお話を伺いました。中国では桑の葉を陰干ししたものを「神仙茶」と呼び、咳止めや、血流の改善、滋養強壮に効果があるとして、古くから愛飲されてきました。「茶は養生の仙薬なり、延齢の妙術なり」と臨済宗開祖、栄西は言っています。栄西は、桑の葉のお茶を、長寿の薬として普及に努め、糖尿病の治療薬としても、広く使われたと伝えられています。古くは生薬としても利用されてきたように、桑の葉にはあらゆる機能性が存在するのだと、鈴木教授は言います。そしてその言い伝えが、最近の研究によって明らかにされているそうです。

まず注目されているのは、豊富な栄養素です。桑の葉の必須アミノ酸のバランスが人のもつものと非常に良く似ているそうです。また、ミネラルも豊富に含まれており、他の食品と比較すると良くわかります。桑の葉の栄養価の高さから、蚕を育てるだけではもったいない、と教授は考えたのです。初夏に赤く色づき、やがて黒紫色に熟す桑の実。春に芽吹く新芽もてんぷらとして食用されてきました。しかし、桑の葉を人が食べるということはこれまでなかったのです。

誰も桑の葉の機能性に注目することはありませんでしたが、そんな中、桑の葉をガムの着色料として使えないかと考えたひとがいました。それは今からおよそ20年前のこと。桑の葉の原料メーカーとなったトヨタマ健康食品株式会社の橋本さんです。最初は桑の葉の天然色素をとるための研究から始まりました。そんな中、神奈川県も新たに桑の研究を始め、トヨタマ健康食品との共同研究の話がもちあがりました。神奈川県がプロジェクトチームを結成し、平成2年、桑の葉の共同研究が始まったのです。桑の葉に注目しその機能性に魅せられていった人々と神奈川県という公的な研究機関による信頼ある調査結果は、たくさんの人から注目を集め、食品としての桑の葉が日本中に広まっていったのです。

桑の葉の効果効能、人のチカラ

桑畑岩手県の南部の位置する一関市。7月は桑の葉の収穫時期です。これから葉の刈り取り作業が行われる桑畑。昔、河川敷周辺は一面桑畑だったそうですが、今は放置されています。比較的新しい場所はまだ畑らしさを残していますが、栄養がいきわたらないため、葉が薄く、色も薄くなっています。ここまでくると畑はもう二度と元の姿に戻ることはないそうです。

桑の葉の食文化の復活

ここで桑の葉の収穫を行うのは桑農家の伊藤博夫さんです。機械で葉を収穫し、蚕の飼育場へ運びます。伊藤さんの収穫する桑の葉は蚕の飼料としても使用されていますが、お茶やサプリメントの原材料にも使用されます。機械で収穫した葉を、今度は人の手で枝を取り、葉だけを集めます。伊藤さんの収穫した桑の葉は、その後、岩手県の南東部に位置する陸前高田のお茶工場へと運ばれます。そこで桑の葉のお茶に加工されます。

苦味や渋みがなく、ほんのり甘みがあって飲みやすい桑の葉のお茶。歴史の中で途絶えていた桑の葉を食べる文化は、最新の研究によってその機能性が認められたため、復活したのです。

桑の葉のお茶が出来るまでの道程

1.収穫
桑の葉のお茶は無農薬で育てられた生育の良い品種を使用。最近の収穫は機械が主流。

2.葉を集める
人の手で枝を取り、葉だけを集める。

3.工場へ
桑の葉は製茶工場に運ばれ、異物が入っていないかチェックされる。

4.裁断
製茶に適した大きさにするために機械で葉を刻む。

5.スチーミング
桑の葉の風味や色を出すために蒸気をかける。

6.乾燥・揉む
桑の葉をお茶の状態に仕上げるために乾燥させ、葉を揉む

7.選別
桑の葉をふるいにかけて荒い枝などを取り除く。

8.完成
最後に作業員の入念なチェックを経て桑の葉のお茶が完成する。

桑の葉の効果効能、真・新のチカラ

桑の葉がもつ驚きのチカラ

桑の葉の酵素阻害試験神奈川県の衛生研究所が行った桑の葉の機能性に関する研究内容、それは桑の葉の酵素阻害試験でした。ふたつの試験管に砂糖と、糖を分解する酵素をいれ、一方には水を、もう一方には桑の葉エキスをいれ、酵素の分解を調べました。すると桑の葉エキスをいれた方は酵素が働かないという結果が出たのです。この現象が体内で起きた場合、糖の吸収が抑制されるのです。

桑の葉に含まれる、酵素の働きを止める成分。その正体は1-デオキシノジリマイシン(DNJ)と呼ばれる成分であることが研究によりわかりました。DNJはブドウ糖に良くにた物質で、水に溶けやすく、体に優しい成分です。

食品に含まれていた糖質は小腸で酵素により分解され、血液に吸収されます。そのため、食後の血糖値は急激に上昇します。しかし、桑の葉を食べた場合、桑の葉に含まれるDNJが酵素の分解を止めるため、糖質は吸収されずにそのまま排泄されます。これにより血糖値の上昇も抑えられます。

体内で起こる通常の糖質分解と桑葉DNJによる糖質吸収阻害

桑葉DNJによる糖質吸収阻害の機能が生活習慣病や、糖尿病、メタボリックシンドロームの予防にもチカラを発揮するだろうと言われています。鈴木教授が行った、桑摂取による肥満改善調査を行ったところ、肥満度を示すBMIの減少やウエストの数値が小さくなるなど、その効果が認められたのです。